「節」は季節の変わり目という意味。節句は季節の節目に、無病息災、豊作、子孫繁栄などを願い、お供え物をしたり、邪気を祓う行事で「節供(せっく)」ともいいます。
※「節供」は、季節の変り目に神に供えた食物のことです。
人日(じんじつ・1月7日)、上巳(じょうし・3月3日)、端午(たんご・5月5日)、七夕(たなばた・7月7日)、重陽(ちょうよう・9月9日)の5つを五節句といい、中国から伝わりました。
中国の暦法と日本の風土や農耕を行う生活の風習が合わさり、宮中行事となったものが「節句」の始まりとされています。
日付を見て、もうお気づきでしょう。すべて奇数ですね。それも、1月を除いて月と日が同じ数。奇数の数が重なっています。
※1月だけは1日(元日)を別格とし、7日の人日(じんじつ)を五節句の中に取り入れています。
中国では、奇数は「陽の数」として縁起が良い数とされていました。
日本でも、お祝い事や縁起物の際、奇数が好まれています。結婚などのお祝い金は、二つに割れない(別れない)として、3万円や5万円など奇数の額を贈るのが良いとされていますよね。
宮中行事であった5つの節句を、江戸幕府が一年のうちで特に重要な節目として式日(しきじつ)に定めたことで庶民の暮らしの中で根付いていきました。この制度は明治6年に廃止されていますが、現在は季節を楽しむ行事として定着しています。
※式日:祝日・祭日。儀式のある日。
※中国では、同じ数が重なる月日を特別な日と捉えていたとは別に、忌み嫌ったため、お祓いをしたのが始まりだという説もあるようなので、再度いくつかの文献を調べてみました。私の調べた限り、奇数は「陽の数」として縁起が良い数とされ、その「陽の数」が重なることを嘉とする観念は、前漢の時代からあったようです。 |